
買い物上手になる!エコなラベルについてのあれこれをまとめてみました
日々買い物をしていると、さまざまなラベルやマークを見かけます。でもたくさんあり過ぎて、本当の意味を理解しきれていなかったり、買い物に生かしきれていないかも、と考えたことはないでしょうか?そこで、今回はスーパーでよく見かけるエコラベルやマークの一部を、まとめてみました!
エコラベルの定番!「有機JASマーク」

有機JASとは、JAS法に基づき、「有機JAS」に適合した生産が行われていることを第三者機関が検査し、認証された事業者にのみ「有機JASマ ーク」の使用を認める制度のことです。農産物、畜産物及び加工食品は、有機JASマークが付されたものでなければ、「有機○○」「オーガニック」と表示できない決まりになっています。
有機JAS制度は、食品の国際規格を定める機関「コーデックス」のガイドラインに準拠し、農畜産業に由来する環境への負荷を低減した持続可能な生産方式の基準を規定しています。
たとえば、有機農産物にあっては、堆肥等で土作りを行い、化学合成肥料及び農薬の不使用を基本として栽培されていること、また、有機畜産物にあっては、有機農産物等の給与、過剰な動物医薬 品等の使用の制限、動物福祉への配慮等により飼養していること、これらの生産に当たっては、遺伝子組換え技術は使用禁止、などがあります。
ただ、気をつけなければいけないのは、有機栽培というのは無農薬栽培ではないということ。とはいえ、農薬がたくさん使われ、地球にも生産者にも消費者にも害の多いものを選ぶより、有機という言葉のついた商品を選ぶことは、ある程度環境に負荷の少ない買い物ができるということになります。
海のエコラベルといえばこれ!「MSCエコ認証」

近年、海の環境は年々悪化の一途を辿っていると言われています。海の中の生き物たちの暮らしを日常生活で意識することは難しいですが、実は想像以上に深刻な状態です。
たとえば、海の中にある5ミリ以下のプラスチック、いわゆるマイクロプラスチックの量は、天の川にある星の数(4000億)よりも多く、数十兆個と言われています。そしてその質量はあと数年で、海の中にいる魚の質量をも上回るという予測さえあるほどです。さまざまな海の生き物の体内からマイクロプラスチックが発見されるというニュースも昨今では珍しくありません。
また、ここ数年では海洋熱波と呼ばれる新しい現象についても専門家の間で警鐘が鳴らされています。海水は温度差などによって大きなうねりとなり長い時間をかけて地球上を循環していますが、一部の海域の水温が上昇したことにより、その海域の生き物たちが一網打尽になったり、海水の動きが鈍くなることであらゆる生物の生存環境が脅かされているようなことがあるのです。さらには、過剰漁獲などの脅威にもさらされています。
MSC(Marine Stewardship Council)認証は、そんな海の環境や水産資源・環境に配慮しているとして、第三者の審査機関による審査によって認証された持続可能な漁業で獲られたものであることを認証しています。
水産エコラベル認証には、生産段階、流通加工段階の2種類があり、生産段階認証は持続可能で環境に配慮した漁業・養殖業から生産された水産物であること、流通加工段階認証は認証された水産物が、非認証水産物と混ざることなく、流通・加工・小売等の事業者により消費者 のもとに確実に届くことをそれぞれ担保しています。養殖についての認証はASC(Aquaculture Stewardship Council)認証といって、緑のマークが目印です。
さらには日本独自の認証制度、MEL(Marine Eco-Label Japan)、通称「メル」も存在します。水産資源の持続性と環境に配慮している事業者(漁業・養殖業)を第三者が審査し認証します。その水産物を使用して流通・加工する事業者も認証を必要とします。それらを経て水産物にMELのロゴマークを付与し消費者に届ける仕組みです。
現在、海産物のエコラベルについては世界各国で乱立しているのが課題ともなっており、2013年には世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)が設立しました。FAOガイドラインに基づく、独自の基準を満たす認証スキームを承認し、認証水産物の普及を図っています。MELもこのガイドラインを満たしているとして国際的に承認されています。
レインフォレスト認証

カエルのマークでおなじみのレインフォレスト・アライアンス認証は、農園の環境、土壌・水を含めた天然資源、生態系や生物多様性を守り、労働者の労働条件やその家族・地域社会を含めた教育・福祉などの厳しい基準を満たした農園に与えられます。さらに、生産性向上などを研修などで推進することにより、自立した農園経営を目指します。
コーヒー、紅茶、チョコレート、バナナなどでよく見かけるこのカエルマークは、生産農園の持続可能性、その作物を輸入、加工する各企業の生産流通の方法やトレーサビリティが確認できる印です。
生産者の方々に思いを馳せながら買い物をすると、感謝の気持ちも湧いてきますね!
終わりに
さて、ラベルや認証制度について、日頃よく見かけるものをご紹介しましたが、読者のみなさんは、いくつご存知でしたでしょうか。たくさんの認証制度がある背景には、それだけ、わたしたちの食の安全を維持することが難しくなりつつあるという現実に目を向けるべきなのかもしれません。
さまざまなラベルがありますが、一つ一つの基準など、あらためて確認してみると数多ある商品の中から自分の価値観にあった選択ができるようになります。自分の価値観に納得しながら日々を過ごすことは少しおおげさな言い方になるかもしれませんが人生を豊かにしてくれる要素の一つではないかと思います。
そして、その小さな積み重ねの一つひとつが、サステナブルな未来へと舵を切っているかもしれませんし、真剣に環境問題に取り組む企業を応援することにもつながります。
全ての消費活動をエコにしていくことは難しいかもしれませんが、たとえば、主食だけは有機栽培のものを選択する、調味料だけでもラベルを見てから買う、自分へのたまにのご褒美は生産者さんがわかるものにする、などなど、少しずつ習慣を変えていき、自分なりにできることを見つけていくのも、楽しみながら長く続けるコツのような気がします。
日々、目の前で起きる一つ一つのことに向き合っていると、地球のことに「無関心」になるのは仕方ないことなのかもしれません。しかし、地球で暮らす一員として、「無関係」ではいられないことを忘れないようにしようと思います。
※参考文献
農林水産省 有機食品の検査認証制度:https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
有機食品の表示制度:日本:https://www.jetro.go.jp/world/qa/04M-080304.html
MSC認証:https://www.msc.org/jp
マリン・エコラベル・ジャパン協議会:http://www.melj.jp/
執筆者 :てら
2010年からA SEED JAPAN に学生ボランティアとして参加。都内金融機関、フィンテックベンチャーでの勤務を経験。将来世代に素敵な地球を受け継ぐ方法を模索中。